ジェット燃料きのこ


信州大芝高原

女バスの練習試合で中学生4人を載せて伊那市まで行くことに。

途中抜け出して、信州大芝高原の道の駅まで、15分くらい車を走らせました。
近くにあった、セラピーロードというインターバル速歩を推奨する針葉樹林内のコースを散策することにしました。

伊那I.C.から20分くらいなのに、高原というだけあって、まだ残雪があり肌寒い一日でした。
ヒノキにアカマツが混じった樹林帯のよく整備された道を小走りに進んでいきます。
スーパーの袋を持って茂みに入っていく女性の姿が…。フキノトウ辺りを採っているのか?

もちろん私の目当ては春茸(きのこ)のトガリアミガサタケ。西洋では高級食材のブラックモレルです。
と、ふと目に入ったのが、シャグマでした。
よりによってこんなところで遭遇するとは、心の準備ができてません。

そうです、あの猛毒のシャグマアミガサタケです。
フィンランドでは毒抜きをしてまで食べられているうまいきのこです。
一度は自分も食べてみなければと思っていたのですが、それが今日とは…。σ(^_^;


脳みそタケ、森の哲学者などとも呼ばれている

シャグマはジロミトリンという毒を含んでいて、食べると4~24時間ほどで激しい嘔吐や下痢、腹痛、痙攣におそわれ、その後、肝、腎機能障害を起こし、ひどい場合は内蔵出血や脳浮腫から意識障害、昏睡状態を経て死に至ると言われています。
フィンランドでは、市場に出回ったり、缶詰めとして売られているそうですが、いずれも毒抜きをする必要があるため、死亡例も報告されています。

毒抜きの方法ですが、ジロミトリンは水溶性なので、十分な量の水から10分間煮沸しては水にさらすという工程を3回くりかえします。
ただジロミトリンが加水分解される過程で揮発性の極めて高いモノメチルヒドラジン(MMH)に変わります。
MMHはジェット燃料に使われる物質なので、これがまたやばい!
うっかり吸い込んで中毒を起こした事例もあるようです。
そのため換気のよい屋外での作業となります。


地獄の釜の様相に

その日は伊那から帰ってから取りかかったので、もうすっかり夜。おまけに小雨がぱらつき風もある。
最悪の条件の中での作業となりました。
2階のベランダに携帯ガスバーナーを持ち出し、懐中電灯で照らしながら、タイマーをセットします。
茹でこぼしたら大変と何度も鍋の中をのぞき込む。気づいたら風下で長いこと座っていたし…、暗いからよくわからないけど蒸気も結構出ていたはず。
息を止めたりもしていけど、そこそこ吸い込んでいたみたいです(ヤバ!)。
ま、今のところ健康被害はないですが…。


10分間ずつ計30分茹でこぼした状態
だいぶ弾力が出てきた

いよいよ試食ですが、ここまできちんと工程を踏んできたので、躊躇することはなかったです。
ただ初日は2分の1個にとどめ、何もないことを確かめて、翌日は1個半食べることに決めました。

最初はシンプルにオリーブオイルで炒め、塩胡椒で味付けします。
量が少なくてよくわかりませんが、シャキシャキした食感と、あれだけ茹でこぼしたにも関わらず、濃厚な旨みがあることはわかりました。

翌日は、バターでソテーして塩胡椒や粉チーズ、醤油などをかけて食しました。
まずくはないけど好んで食べるというほどのものでもない感じです。
口いっぱい頬張らないと、ホントの良さはわからないようです。
もちろんそんな勇気は私にはないですが…。(^^;)

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