雑きのこ

前回、チチタケのところで”雑きのこ”として記した、”シロノハイイロシメジ”を取り上げます。


シロノハイイロシメジ

雑きのことは、「松茸や椎茸ほど周知されてはいないものの、ある一部の地域でよく食べられていたり、毒抜きなどの処理を施して食べられてきた脇役的きのこのこと」と勝手に定義してみました。

シロノハイイロシメジは、キシメジ科のきのこで、下部がラッキョウのように膨らんだ典型的なシメジ形をしています。
一応秋きのことされていますが、もう出ています。

生食は厳禁ですが、うま味のある出汁が出るので昔から食べられているきのこです。
ただ、近年は毒きのことして認知されています。

厚生労働省の「自然毒のリスクプロファイル」によると、

  食後数十分から24時間以内に嘔吐,下痢など胃腸など消化器系中毒を起こすが,数日で回復する。
  毒成分は不明であるが,ネブラリン,レクチンタンパクなどを含む

とあります。

レクチンは糖と結合するタンパク質の総称で、インゲン豆に多く含まれています。
乾燥させた豆を十分加熱処理せず食べると、下痢や嘔吐などを起こすことはよく知られていますよね。

傘の径は6cm以上、柄の長さも10cmと大きく、身もしまって見るからに美味しそうなきのこです。

火が通りやすいよう、縦にスライスします。
あまり強くはないですが、癖のある臭いがあります。
図鑑には”ニラの腐ったような臭い”とありますが、あまりピントきません。
アメリカでは、これをスカンク臭と呼んでいるようですが、この方がしっくりきます。

網焼きでしっかり焦げ目をつけます。
エリンギのようなしっかりした食感に、少し苦みを含んだうま味があります。

3日ほどかけて、中毒症状が出現しないことを確認しながら食べます。
バター醤油炒めにうどんの具など、色んな食べ方を試します。

食卓に出すのは、まだ先のことです。


もう一つの雑きのこ、”クリフウセンタケ”です。
フウセンタケ科のきのこに特徴的な、”綿毛状の皮膜の名残”をどの個体からも確認できなかったので、同定率は80%未満と低く、食べるにはかなりリスクが高いです。
念のため胞子紋をとり、胞子の色も確認しておきます。

ただ似たような毒きのこが、カキシメジなどの他に見あたらないので、茹でこぼしてから、慎重に食します。


クリフウセンタケか?

少し苦みがあるものの、癖がなく歯切れのよい旨いきのこでした。

確かにきのこは美味しくて、栄養価も高いですが、野生のものを食指の赴くままに食べるのは、とても危険なことです。
安全なきのことされていても、土壌が汚染されていたりすると、セシウムなどの放射性物質や有害な化学物質を特異的に取り込むものがあります。

あくまで研究目的で、味も知っておくといったところから始めるのが賢明です。

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